墓地、埋葬等に関する法律
昭和23年5月31日法律第48号
最終改正 平成2年6月29日法律第62号 平成6年6月29日法律第49号

第一章 総則
第一条(法律の目的)
この法律は、墓地、納骨堂又は火葬場の管理及び埋葬等が、国民の宗教的感情に適合し、且つ公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われることを目的とする。
第ニ条 (定義)
1 この法律で「埋葬」とは、死体(妊娠四箇月以上の死胎を含む、以下同じ。)を土中に葬ることをいう。
2 この法律で「火葬」とは、死体を葬るために、これを焼くことをいう。
3 この法律で「改葬」とは、埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋葬し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すことをいう。
4 この法律で「墳墓」とは、死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設をいう。
5 この法律で「墓地」とは、墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事の許可を受けた区域をいう。
6 この法律で「納骨堂」とは、他人の委託をうけた焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可をうけた施設をいう。
7 この法律で「火葬場」とは、火葬を行うために、火葬場として都道府県知事の許可を受けた施設をいう。

第二章 埋葬、火葬及び改葬
第三条(二十四時間内埋葬又は火葬の禁止)
埋葬又は火葬は、他の法令に別段の定めがあるものを除く外、死亡又は死産後二十四時間を経過した後でなければ、これを行ってはならない。 但し、妊娠七箇月に満たない死産のときは、この限りでない。
第四条(墓地外の埋葬又は火葬場外の火葬の禁止)
1 埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行ってはならない。
2 火葬は、火葬場以外の施設でこれを行ってはならない。
第五条(埋葬、火葬又は改葬の許可)
1 埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚生省令で定めるよころにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければならない。
2 前項の許可は、埋葬及び火葬に係るものにあっては死亡若しくは死産の届出を受理し、死亡の報告若しくは死産の通知を受け、又は船舶の船長から死亡若しくは死産に関する航海日誌の謄本の送付を受けた市町村長が、改葬に係るものにあっては死体又は焼骨の現に存する地の市町村長が行うものとする。
第六条及び第七条 削除
 第八条「許可証の交付)
市町村長が、第五条(埋葬、火葬又は改葬の許可)の規定により、埋葬、火葬又は改葬の許可を与えるときは、埋葬許可証、改葬許可証又は火葬許可証を交付しなければならない。
第九条(市町村長の埋葬又は火葬の義務)
1 死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない
2 前項の規定により埋葬又は火葬を行ったときは、その費用に関しては、行旅病人及び行旅死亡人取扱法(明治三十二年法律第九十三号)の規定を準用する。

第三章 墓地、納骨堂及び火葬場
第十条(墓地、納骨堂又は火葬場の経営等の許可)
1 墓地、納骨堂又は火葬場を経営しようとするものは、都道府県知事の許可を受けなければならない。
2 前項の規定により設けた墓地の区域又は納骨堂若しくは火葬場の施設を変更し、又は墓地、納骨堂若しくは火葬場を廃止しようとする者も、同様とする。
第十一条(他の法律による処分との調整)
1 都市計画事業として施工する墓地又は火葬場の新設、変更又は廃止については、都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第五十九条(施工者)の認可又は承認をもって、前条の許可があったものととみなす。
2 土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)の規定による土地区画整理事業又は大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法(昭和五十年法律第六十七号)の規定による住宅街区整備事業の施行により、墓地の新設、変更又は廃止を行う場合は、前項の規定に該当する場合を除き、事業計画の認可をもつて、前条の許可があつたものとみなす。
第十二条(管理者の届出)
墓地、納骨堂又は火葬場の経営者は、管理者を置き、管理者の本籍、住所及び氏名を、墓地、納骨堂又は火葬場所在地の市町村長に届け出なければならない。
第十三条(管理者の応諾義務)
墓地、納骨堂又は火葬場の管理者は、埋葬、埋蔵、収蔵又は火葬の求めを受けたときは、正当の理由がなければこれを拒んではならない。
第十四条(許可証のない埋蔵・収蔵又は火葬の禁止)
1 墓地の管理者は、第八条(許可証の交付)の規定による埋蔵許可証、改葬許可証又は火葬許可証を受理した後でなければ、埋蔵又は焼骨の埋蔵をさせてはならない。
2 納骨堂の管理者は、第八条の規定による火葬許可証又は改葬許可証を受理した後でなければ、焼骨を収蔵してはならない。
3 火葬場の管理者は、第八条の規定による火葬許可証又は改葬許可証を受理した後でなければ、火葬を行つてはならない。
第十五条(図面・帳簿・書類の備付又は閲覧の義務)
1 墓地、納骨堂又は火葬場の管理者は、省令で定めるところにより、図面、帳簿又は書類等を備えなければならない。
2 前項の管理者は、墓地使用者、焼骨収蔵委託者、火葬を求めた者その他死者に関係ある者の請求があつたときは、前項に規定する図面、帳簿又は書類等の閲覧を拒んではならない。
 第十六条(許可証の保存及び記入)
1 墓地又は納骨堂の管理者は、埋葬許可証、火葬許可証又は改葬許可証を受理した日から、五箇年間これを保存しなければならない。
2 火葬場の管理者が火葬を行つたときは、火葬許可証に、省令の定める事項を記入し、火葬を求めた者に返さなければならない。
第十七条(管理者の報告)
墓地又は火葬場の管理者は、毎月五日までに、その前月中の埋葬又は火葬の状況を、墓地又は火葬場所在地の市町村長に報告しなければならない。
第十八条(当該吏員の立入検査)
1 都道府県知事は、必要があると認めるときは、当該吏員に、火葬場に立ち入り、その施設、帳簿、書類その他の物件を検査させ、又は墓地、納骨堂若しくは火葬場の管理者から必要な報告を求めることができる。
2 当該吏員が前項の規定により立入検査をする場合においては、その身分を示す証票を携帯し、且つ関係人の請求があるときは、これを呈示しなければならない。
第十九条(施設の整備改善その他の強制処分命令等)
都道府県知事は、公衆衛生その他公共の福祉の見地から必要があると認めるときは、墓地、納骨堂若しくは火葬場の施設の整備改善、又はその全部若しくは一部の使用の制限若しくは禁止を命じ、又は第十条 (墓地、納骨堂又は火葬場の経営等の許可)の規定による許可を取り消すことができる。

第三章の二 雑則
第十九条の二(読替規定)
第十八条及び前条(第十条の規定による許可を取り消す場合を除く。)中「都道府県知事」とあるのは、保健所法(昭和二十二年法律第百一号)第一条の規定に基く政令で定める市にあつては、「市長」と読み替えるものとする。
第十九条の三(大都市の特例)
前条に規定するもののほか、この法律中都道府県知事の権限に属するものとされている事務で政令で定めるものは、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(指定都市の特例)第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)及び同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下「中核市」という。)においては、政令で定めるところにより、指定都市の又は中核市(以下「指定都市等」という。)の長が行うものとする。この場合においては、この法律中都道府県知事に関する規定は、指定都市等の長に関する規定として指定都市の長に適用があるものとする。

第四章 罰則
第二十条
左の各号の一に該当する者は、これを六箇月以下の懲役又は二万円以下の罰金に処する。
一 第十条(墓地・納骨堂又は火葬場の経営等の許可)の規定に違反した者
二 第十九条(施設の整備改善その他の強制処分命令)に規定する命令に違反した者
 第二十一条
左の各号の一に該当する者は、これを二万円以下の罰金又は拘留若しくは過料に処する。
一 第三条(二十四時間内埋葬又は火葬の禁止)、第四条(墓地外の埋葬又は火葬場外の火葬の禁止)、
   第五条(埋葬、火葬又は改葬の許可)第一項又は第十二条から第十七条まで(管理者の届出・応諾義務・許可証のない埋蔵収蔵若しくは火葬の禁止・帳簿書類から名の備附・閲覧義務・許可証の保存及び記入又は管理者の報告)の規定に違反した者
二 第十八条(当該吏員の立入検査)の規定による当該吏員の立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者、又は同条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をした者
第二十二条(両罰規定)
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二条の違 反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人の対しても、各本条の罰金刑を科する。

附則
第二十三条(施行期日)
この法律は、昭和二十三年六月一日から、これを施行する。
第二十四条(命令の廃止)
日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律(昭和二十二年法律第七十二号)第一条の四(国会の議決により法律に改められた左の命令は、これを廃止する。
墓地及埋葬取締規則(明治十七年太政官布達第二十五号)
墓地及埋葬取締規則に違背する者処分方(明治十七年太政官布達第八十二号)
埋火葬の認許等に関する件(明治二十二年厚生省令第九号)

第二十五条(処罰に関する経過措置)
この法律施行前になした違反行為の処罰については、なお従前の例による。
第二十六条(従前の命令による経営の許可の効力)
この法律施行の際現に従前の命令の規定により都道府県知事の許可をうけて墓地、納骨堂又は火葬場を経営している者は、この法律の規定により、それぞれ、その許可をうけたものとみなす。
第二十七条(納骨堂経営の許可申請の特例)
従前の命令の規定により納骨堂の経営について都道府県知事の許可を必要としなかつた地域において、この法律施行の際現に納骨堂を経営している者で、この法律施行後も引き続き納骨堂を経営しようとするものは、この法律施行後三箇月以内に第十条(墓地・納骨堂又は又は火葬場の経営等の許可)の規定により都道府県知事の許可の申請しなければならない。その申請に対して許否の処分があるまでは、同条の規定による許可を受けたものとみなす。
第二十八条(従前の命令による埋葬・改葬又は火葬の許可の効力)
この法律施行の際現に従前の命令の規定に基いて市町村長より受けた埋葬、改葬若しくは火葬の認許又はこれらの認許証は、それぞれ、この法律の規定によつて受けた許可又は許可証とみなす。